FOUNDER



daisuke tajima

田島 大資 / daisuke tajima

一般社団法人ティシュー 代表理事

1982年生まれ。東京/奈良在住。メディアアーティスト、グラフィックデザイナー、Web戦略/新規事業戦略プランナー、クリエイティブ事業/イベント事業プロデューサーなどを経験したのちに、大阪梅田の大規模再開発に伴う都市構想、イノベーション施設構想のプロデュースに参画。2013年創業。約2年間のベルリンを拠点にした活動を経て、渋谷再開発プロジェクトに参画。2016年一般社団法人ティシュー設立。イノベーションやクリエイティブに関わる様々なプロジェクトの企画・プロデュースを行うとともに、クリエイティブ産業振興や文化芸術振興に尽力する。近年は「物事の本質を問うことから価値創造、社会実装に繋げる方法論の体系化」「人文科学・現代美術のイノベーションやまちづくりへの応用展開の研究」に取り組み、「問いの文化をつくること」を一つの目標として活動を行っている。




VALUES


個々人の価値観や創造性が自発的に覚醒する環境を育みたい
考えが多様で変化していくものでも互いに信じ合える環境を育みたい


イノベーションは、「良い」方向に革新することです。
何が良いかという指標は、世界、地球、種、地域、共同体、個体など、視座により異なるものです。 良いということは人がつくる観念であり普遍的には無いのかもしれません。 一方で日常的な目線で人を見ると、日々思考を巡らせ、時には心に身を任せ “より良い選択” を模索し続けています。 これは人間の知性がもたらした幻想とも言えますが、計画性・組織化に基づく大規模な活動は、 人の生活や地球環境に強大な影響力を持ち始めている現実があります。

人類の活動の在り方が大きく変わる未来が予想される現在、 その変化の行方は、昨今盛り上がりを見せるクリエイティブ・イノベーション領域に携わる人々にその一端が委ねられます。 しかし、創造活動の支援を行っている中で先進国を中心とした世界中のクリエイティブ界隈の動きを見渡すと、 必ずしも良い方向に向かっているとは言えない現状があります。

真により良い方向へ変革する “イノベーション” とはどのようなものでしょうか?
多様性が加速する時代の中で、ますます「良い」の指標を決めることが難しくなっています。 多様性、オープン化の推進など、現在良いとされていることは、次代にも必ずしも良いとされるかどうかは分かりません。 同一社会の中での格差の透明性が軋轢を生むことは類人猿から学びえることで、 巨大化する人間社会の規模は、進化の中で育んできた、共通価値の創出や、仲直りの方法を機能不全にしており、 世界規模での格差の透明性が現在の大変な不安定をもたらす一因になっているのかもしれません。 何事にも無思考で鵜呑みにはせず、まずは慎重に多角的な考察が必要です。 真により良い方向へ変革する “イノベーション” とは、誰かの提唱した良いではなく、 個々人が、多様な視点から学び、影響を受ける側の立場のことも踏まえてよくよく考え抜いて自身の考えで行動する、 個人の心をよりどころにしたものではないかと思います。(個人の意識の存在を一般的な話として仮に肯定するとします)

そのような心というものは、一つのベクトルに収束されているような固定の価値観による何かを学べばよいということではなく、 多様な文化や人、知、あるいは自然と誠実に対峙していくことで個々人の中で育まれていくものです。 個々人異なる多様な思想や価値観、創造性が、自発的に覚醒していくような環境や仕組みづくりが大切であると考えています。 時間はかかるでしょうがそのようにして醸成された心が生み出す創造活動は信じることができ、 様々な視点において持続可能で、支持される、ビジネスとしても成功につながるものになっていくであろうと確信しています。

現役の大人から未来を担う子供まで、複雑に変容し続ける世界に対し、影響力を持つ創造的活動の担い手は、 ビジネススキルやクリエイティビティを磨くばかりでなく、心を育む努力 =「次代のクリエイティブ人材の基礎教養」が必要であると感じます。 私どもの活動もそのような環境や仕組みづくりの一助となり、 人類の創造的活動のうねりが「多様な人が共存する相対的な良い」の方角へ変化していくことを願っています。


ティシューの現在の指標は、
“人類がキーストーン種に向かうこと”


実行することや評価することが困難でハイコンテクストなことですが、 とりわけ文明化社会や都市生活者にとって、生態系との関係が一方的に偏ったものではない、 生態系から必要とされる種に向かうベクトルが良いと捉えています。 しかし、人口や健康など様々なジレンマが既に存在します。価値観は探究を続ける中で変化していくものです。執着せず柔軟な態度で問い続けています。